東京高等裁判所 昭和45年(ネ)3292号 判決
被控訴人の民事訴訟法一九八条二項に基く請求の適否について考えると、手形判決に仮執行の宣言が付され、この仮執行の宣言に基いて被告が給付したものの返還を民事訴訟法一九八条二項に基いて命ずるのは、この手形判決に対する異議の申立によってこの手形判決を変更する判決においてなすべきものである。ところが、当事者においてその機会を失い手形判決を変更する判決に対する控訴審において仮執行の宣言に基き給付したものの返還を求めた場合、控訴裁判所が手形判決を変更する原判決を維持して控訴を棄却するときにも、この請求を認容することができるであろうか。当裁判所はかような場合にも民事訴訟法一九八条二項を準用してこの請求を認容してよいものと解する。蓋し、この場合控訴裁判所に於ては原判決のみならず手形判決の当否についても判断を加え手形判決が失当であるとするのであり、仮執行の宣言に基き給付したものを速かに正当な原状に回復させるのが民事訴訟法一九八条の趣旨とするところであって、これを別訴によらしめるのは迂遠の途といわなければならないからである。
(古関 田中 川添)